急に涙が出る
最近、ふとした瞬間に涙が出てしまうことはありませんか?
誰かの何気ない一言、テレビのニュース、通勤中の景色――そんな小さなきっかけで、気づけば涙がこぼれている。自分でも「なぜ泣いているのかわからない」こともあるかもしれません。
実はそれ、心の不調のサインかもしれません。
私たちは、ストレスや不安、緊張を感じたとき、無意識にそれを抑え込もうとします。でも、こころの奥で溜まり続けた負担は、ある日突然「涙」となってあふれ出てくることがあります。
診察の場面でよくみられるのが、うつ病や抑うつ状態における「涙もろさ」です。
普段なら泣かないようなことで涙が出てしまったり、気持ちが抑えきれずに泣いてしまう――それは、こころのエネルギーが少なくなっている証拠です。
また、「不安障害」でも、突然の涙はよく見られます。
心配事が頭から離れず、胸がざわざわして眠れない。そういった不安感が高まったとき、涙となってあらわれることがあります。
一方で、認知症の一部や脳血管障害などの後遺症などでみられる「感情失禁(情動失禁)」と呼ばれる状態では、実際の感情とは関係なく、涙や笑いがコントロールできずに出てしまうことがあります。これは、脳の働きがうまく調整できないことで起きるものです。
つまり、「急に涙が出る」という一見シンプルな症状も、こころの疲労からくるものなのか、脳の変化によるものなのか、背景にはさまざまな可能性があるのです。
ただひとつ確かなのは、「涙が出る」という現象は、あなたの心身が何かしらの負荷を感じているというサインであることです。
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院長 萩原将孝
日本精神神経学会認定精神科専門医
厚生労働省精神保健指定医
日本医師会認定産業医